水の都ブルージュとカリヨンの音


誰が名付けたかシルバーウィーク。5月の大型連休のゴールデンウィーク次ぐ大型の連休と敬老の日が入るのに併せてのネーミングだと思うが、”ブルースカイウィーク”とでも云いたくなるほど青空が続く。ブルースカイに彼岸花のレッドカーペットが映える。



さて、先日からの旅行記はベルギー編だ。5都市を2日で回った。まったくの駆け足旅行だ。この国、フランス、ドイツ、オランダ、ルクセンブルグと国境を接し、ドーバー海峡によってイギリスにも通じていることから”欧州の心臓”と呼ばれている。言語は主にフランス語とオランダ語、地域によってドイツ語のところもあるという。


どの都市も欧州の人々が長い歴史の中で刻み込んだ遺物を大切に引き継いでいる姿がうかがわれる。どの街にもマルクト広場とかグランプラスの名の中心広場、大聖堂、立派な市庁舎が3点セットである。駆け足旅行といっても、どこもかしこも石畳ばかりで、駆け足すら思うに任せられない。そんな旅行を振り返ってみるとどの街も3点セットと石畳で頭の中を整理するのが大変だ。



ベルギーで回った都市はアントワープブリュッセル、ゲント、ブルージュと山間の小都市デュルベイの5都市。最も印象に残っているのは何と云ってもブルージュだ。                             


べルギーに行ったことのある人は口をそろえて「ベルギーに行ってブルージュに行かなかったら行ったことにならない」という。なるほど、美しい水の都だ。「日光に行かずして結構というなかれ」式の称え方だ。ブルージュは英語のブリッジ、つまり橋の意味で町を縦横に流れる運河に50以上の橋がかかっている。


英語でガイドする現地ガイドの説明を添乗員が通訳しながらの街の散策は時間がかかる。幸いこちらは夜の8時半でもまだ明るい。北海と水路で結ばれていたこの町は、12、13世紀には西欧州第一の貿易港となり中世欧州の商業の中心として繁栄した。



ところが、15世紀になると水路が泥のため浅くなり、商船の出入りが出来なくなってしまった。そのおかげで、ブルージュは中世の景観をそのままに残し現在に至ってしまったと云う。江戸時代の宿場町が、明治維新後開通した鉄道の沿線からはずれて町の発展が取り残されたものの現在では”宿場町の面影を残す町並み”として観光資源となっているのと似たようなことだ。


マルクト広場に13世紀にたてられたという町のシンボルの鐘楼からカリヨン(組み鐘)が響き渡る。三好ヶ丘駅前のカリヨンハウスから鳴る鐘の音とはモノが違う。この風と光と周囲の景観があってこそのカリヨンの音だ。広場の周囲のベンチに集う人々の中に爆買で有名なアジアの大国の人々の姿も珍しく皆無だ。異国情緒をいやが上にも盛り上げてくれるカリヨンの音だ。