オランダ 裏・表


飛行機からオランダを見下ろすと、縦横に走る運河や川、そして湖水地帯が目につく。水の豊富な国なのだ。オランダの国土の4分の1は海抜0m以下。オランダの歴史は水との闘いの歴史だと現地在住歴30年の日本人女性ガイドは熱っぽく語る。オランダのシンボルの風車も、もともとは湧き出る水を汲み上げる目的で造られたものだ。



水という自然の脅威と闘いそれを克服したオランダ人は、今では自然と調和しながら暮らしているように見受けられる。どこまでも続く平らな道をサイクリングする人、運河で釣りをする人。そんな風景を見ながらガイドさんからオランダの人口密度は日本より高いと聞いて俄かに信じ難かった。(帰国して調べた。1平方km当たりオランダ406人、日本336人)山国の日本とすべて平地のオランダの差といえば、差だが・・・。



オランダといえば風車と運河と自転車をイメージする背景はおおまかに前述のようだ。それが表のオランダなら、裏のオランダというべき「安楽死・売春・麻薬」公認のオランダの背景をガイドさんに尋ねた。的確な答えが返ってきた。


オランダは他国で迫害された人々を受け入れることで繁栄してきた。何事にも寛容であることが最大の特徴。(鎖国中の徳川幕府キリスト教の布教活動禁止に対し寛容に応じて長崎出島での貿易を行い、日本に蘭学をもたらした例もある)



現在ではその暮し易さのために実に多くの移民を受け入れている。 合法的に入国した移民については、オランダ語講習、社会化講習、就職相談をセットにした「市民化講習」を欧州諸国に先駆けて行うなどの移民対策を講じている。


このようにそれぞれの文化・国民性の異なった多くの移民を受け入れて一つだけのルールで縛るよりは一定限度の自由を認め、自由な一方で自己責任で行動しなくてはならない国にした方が国是に沿っている。と65歳のおばさんガイド熱く語った。



安楽死・売春・麻薬」についてそれぞれ具体例を出して説明をしてくれたが、それは省略するとして話は教育制度までに及んだ。200人の生徒を集めれば、法律に違反しない限り、どのような学校を作っても良い。このように、オランダでは、学校単位で広い権限が与えられているため学校によってすべて教科書が異なっている。とのことだ。


街に昔ながらのレンガ造りの建物もあれば奇抜な超モダンな建物が目につく。こうした建物の発想はこの教育制度だからこそ生まれるものだと納得。(後日写真掲載)