TV「ボス潜入」について思う


週末からきょうにかけて今季最強の寒波の襲来だ。けさの最低気温マイナス4.8度。台湾でも雪が降ったとか。


季節がら日記を彩る花もあまりない。こんなとき、花木の冬芽や葉痕(ようこん)を観察するのも一興だ。 冬芽とは越冬する芽のことで、 冬の寒さに耐えられるよう、春に開く葉っぱが小さく折りたたまれた状態のもや毛皮のマントを羽織ったような状態のものがある。 葉痕とは葉っぱが枝から落ちた痕跡のことをいう。 とぼけた顔のように見えるのがおもしろい。



先週木曜の夜NHKBS3で「覆面リサーチボス潜入」という番組をやっていた。大手企業の社長や役員「ボス」が素性を隠して自社の現場に潜入、会社の課題や誇れる人材を発見。その後、共に働いた従業員を本社に呼び、正体を告白、課題解決策を提示する。日頃あまり目立たない現場の従業員こそヒーローになるという内容。


シリーズ物で、今回は西濃運輸の常務が体験入社者に変装して、長距離路線トラックに同乗したり、物流センターや都心営業センターで見習いをしたりしていた。番組最後に本社で共に働いた従業員と対面、課題解決策を提示したり、表彰をしたりしていた。常務は現場の生の声が聞けて意義があったと話していた。



西濃運輸は”お遊び”のつもりで取材に応じていたのだと思いたい。真面目に取材に対応していたとしたら、考え物だ。それぞれの現場にはその現場を預かる現場の長がいる。現場の従業員から「私らの声はどうせ会社の上層部に届かない」。そんな声を聞いた覆面常務が生の声を聞けたと喜んでいるのはいただけない。そんなことでは、現場長を配置しておく意味がないのではないか。常務は現場長を集めて彼らのの役割について再教育する必要があるのではないか。


現場長は上意下達、会社の意図していることを従業員に徹底し、従業員の不満を解消する大きな役目を担っているのだ。にもかかわらず、現場長の頭越しに常務が覆面でそんなことをすることに対しては、真面目に職務を行っている現場長は怒り心頭だと思う。


天下の西濃運輸のことだ。こんなことは、きっと”お遊び”に違いない。いや、そうじゃなくてクマさんが危惧するようなことは百も承知で、ちゃっかり会社の宣伝広告費を浮かしているのに違いない。何てたって西濃運輸も放送も全国ネットだから。願ったり叶ったりの宣伝効果ではないだろうか。