本の二度読み


週末の「啓蟄」を境にいっきに春本番への加速がついた感じだ。四つ池の周囲の柳も芽吹いてきて、遠目にも薄緑色のカーテンが揺らいでいるようだ。ウチの門の前のイトスイセンもニオイスイセンの別名の通りほのかな芳香を漂わせている。


名古屋駅前の大名古屋ビルヂングがあさって改築オープンらしい。月に2回名駅に出張しているというのに、地下を通るばかりで、改築後のこのビルを見たことがない。テレビや新聞の写真でみるだけだ。そんなわけで、きょうはじめて肉眼で見てきた。


昔読んだ本を読み返すなどというようなことは滅多にないことだが、きょう名古屋への出張麻雀の電車の中で読む本と思い何気なく書棚から手にした本が20数年前のベストセラー「NOと言える日本」(盛田昭夫 石原慎太郎共著)。



20数年前に読んだ時は「アメリカにノーも言わないような日本人をアメリカ以外の世界の諸国が重視する訳がない」といったようなことを著者は強調しているという印象が強かった。


きのう読み返してみてソニーを町工場から世界的な会社にした盛田氏の先見性に今更ながら感銘を受けた。今から20数年前の著書で今のアメリカの姿を予見し警鐘を鳴らしているのだ。「アメリカは数字だけで実態のないお金だけ動くシンボリックエコノミーばかりやっていてはだめだ。物を作り物に知恵をつけて価値を高めるのが本当のビジネスだ。こんなことではアメリカの将来は怖ろしい。」と。まるで、リーマンショックを見通していたかのようだ。


一度目を覚まして二度寝した後のあの快感を一冊の本でも味わったような気がする。高校時代に勉強した「徒然草」や「枕草子」も今読み返すとまた違った感慨があると思うが、その根気がない。