小遣いで買ったさくら饅頭


春爛漫の一日。あすは春の嵐がやって来る予報だ。腰痛も何とか外出が出来る状態までに回復し、どうやら満開の桜を満喫するのに間に合った。瀬戸の親類の法事に出席したついでの花見だ。環状鉄道の山口駅のすぐ近くだ。法事に出席した人から帰り際に立ち寄ったらと勧められたのだ。多治見の行き帰りに何十回と通る国道から少し入っただけの場所なのに初めてだった。


満開の桜の花びらがはらはらと水面に落ちて寄り合って流れゆくさまを見るにつけ「花筏」とは誰が名付けたか知らないがうまいこと付けたものだと感心させられる。それと同時に、花を惜しみ、行く春を見送る感じにさせられる。


法事のお茶菓子に桜餅が出た。帰宅して届いたメルマガを開いたら「さくら饅頭」の話だ。毒にも薬にもならないような話だが、何だかほろりとさせられたので日記に書き留めた。


             お小遣いで買った「さくら饅頭」

春休みになった日の話です。私は4年生の担任をしていました。学校の近所の総菜屋さんに、昼食を買いに出かけようとしたら、4年生の教え子2人がお弁当を持ってきて、校庭のベンチで食べていました。昼食は、その日職員室にいた職員全員で食べていました。                                     


一人の職員が食べ終え、廊下に出た時、ビニール袋に包まれた箱がおいてあることに気付きました。そして、「 一年間ありがとうございました。先生方で食べてください。   A子 B子」と書いてあるメモがありました。A子、B子は、さっきまでベンチでお弁当を食べていた子たちです。箱を開けると中には、春を思わせるおいしそうなさくら饅頭が入っていました。

 

そのとき私は、一度家へもどり、親からお金をもらって買ってきたのでは…と思っていました。そこで私はお礼ため、2人の家に電話をしてみたところ、2人の親もその事実を知りませんでした。私はそれを聞いて感動してしまい、電話越しに涙が出てきました。




4年生の子ども2人が自分で考えて、行動できたことに正直驚きです。しかし最後の最後で、こんなことができる子どもが自分のクラスにいたことに、驚きと、少し自慢したい気持ちでいっぱいになりました。饅頭の値段は500円くらいです。2人で割って250円です。4年生の子どもにとって見れば高額だと思います。限られたお小遣いの中から、二人で話し合い買ったのでしょう。


私を含め大人もそうですが、自分のお金は自分のために使うものだと思っています。「人のために使え」とはなかなか教えません。このような子が将来大人になって、日本を引っ張ってくれれば、とってもいい国になると思いました。