甲子園野球のガラパゴス化


厳しい暑さが続く。こんな日でも夜明け前のウォーキングは実に爽快だ。丘陵の掘割の土手に生えている人の背丈ほどの何本もの木が雪に覆われたように白い。夏枯れのこの時期に珍しい。クサギの白い花だ。近づくと甘い芳香だ。葉が臭いからのクサギのネーミングだが、花はいい匂いの木だ。秋になると実は瑠璃色でよく目立つ。



日が昇ってくる前の農道脇の林。夜飛び交う蛾をおびき寄せるために草木にからみついて白い花を咲かせレース状の糸を派手に広げていたカラスウリも、夜明けとともに萎えてしまう寸前の姿だ。広い畑の片隅の農具小屋の横では、橙色のノウゼンカズラはもう盛りが過ぎて、エンジ色の花はまだ健在だ。朝日が当たって一層色濃く輝いている。




かつて、太田房江大阪府知事が大相撲の春場所で優勝力士に贈る大阪府知事賞の贈呈を巡り、女人禁制の神聖なる土俵に上がることを協会から断られ話題を呼んだことがあった。今度も、ところはあろうことか阪神甲子園球場高校野球の聖地甲子園のグランドに女子は入るなというのだ。


ことの真相を調べるとこうだ。大分高の女子マネジャーは甲子園練習の際、男子部員と同じユニホーム、帽子姿で球場に入り、球をノッカーに手渡すなど練習の手伝いをしていた。このことが大会規定に反するとして指摘を受けた。体力差のある女子がケガを負う可能性があるから練習補助員は男子に限ると規定されているようだ。



土俵の上が女人禁制という宗教的な問題はそれはそれなりの理由が納得できる。甲子園のグランドの方は、女性活躍社会が唱えられ、19歳の女性が七大陸最高峰を制覇するような時勢からすると、高野連(日本高校野球連盟)の体質に問題があるのではないか。


高野連は公益財団法人というものの運用を実質的に掌握している4名の最高顧問には朝日新聞毎日新聞の社長、会長が名を連ねている。高野連より後にできた高体連(日本高校体育連盟)から加盟要請があっても加盟してない。もともと、夏の大会に関して予選から甲子園の決勝までの過酷な試合日程を諸外国から「日本の高校野球はクレイジーだ」と問題視されている。


野球道ともいえる精神論・根性論の野球が春・夏の甲子園の大会を国民的行事にさせてきた。その自負心が高野連の硬直した体質にしてしまったのではないだろうか。甲子園野球のガラパゴス化が心配だ。