北京五輪回顧


リオ五輪が終わった。夏の甲子園も終わった。城下町の盆バカンスも終わった。今年の夏の宴がすべてきのうで終わり、9から11号のトリプル台風の来襲とともに秋への入り口の新しい週がはじまった。この地は避けての通過でやれやれ。土曜日に訪れた緑化センターのロックガーデンでは、日差しは夏そのものながら、秋の七草オミナエシ秋の訪れを予感させる風情を醸し出している。


2006年にクマさんの日記を書き始めて今年のリオデジャネイロまでに3回の五輪があった。2008年の北京、2012年のロンドンだ。感動のメダルラッシュのリオを振り返ってみる前に、過去2度の五輪をどんな目で見ていたか振り返ってみるのも一興だと思い、日記を紐解いてみた。



北京五輪はリタイヤーして最初の五輪で、腰を据えてゆっくり見られるという新鮮な気持ちのせいだろうか、随分と色々なことをカキコしている。その後のロンドン、リオは年のせいであまり興味が持てなくなっただろうか、五輪関連のカキコが極端に減っている。きょう、あす2回に分けて北京、ロンドン五輪カキコ拾い読みだ。


■ 北京五輪(2008年8月8日〜24日)

2008年8月8日
きょうから北京オリンピックサンデー毎日族になって初めて迎える五輪だ。社会人になった年に東京オリンピック。駆け出しのサラリーマンにはゆっくりテレビ観戦などという余裕もなかった。あれから44年、やっと余裕でテレビ観戦できる時がきた。


中国にしてみれば、100数十年前の清の時代以来、ヨーロッパの国や日本の侵略を受けてきた歴史から屈辱をはらす一つの機会かもしれない。しかし、それにしては経済格差や腐敗、環境汚染などのゆがみが山積している上にウィグルやチベットの人権問題を世界中が注目している。これだけの問題を抱えながら13億の人民の不満が爆発するのをを封じ込め、とうとう開会式までこぎつけてしまった一党独裁国家の凄さと恐ろしささえ感じる。



2008年8月9日
オリンピック昨夜の開会式、朝型人間には11時過ぎまでテレビを見るのは酷だ。日本が入場したところで寝てしまった。それにしても、あのセレモニーに改めて一党独裁国家の凄さと恐ろしさを思い知らされた。

毒入り餃子事件が問題解決の方向に向かっているのも、日本のマスコミ関係者が中国の警官に暴行・連行されたことに対してあっさり謝罪したのもオリンピック祝儀臭くてならない。オリンピックを機会にフツーの国に変わってほしいものだ。


2008年8月12日
始まったばかりのオリンピックの日本のメダルの数を云々するのは早すぎると思うが、きょう12日現在金メダル2個はいずれも二大会連続の内柴、北島。 アテネが終わって彼らを脅かすような選手が出てこない。優等生ばかりもてはやすのもいい加減にしておかないと・・・と言う気がする。



2008年8月16日
オリンピックもきのうで半分が終わった。成績や評価は新聞・テレビがこれでもか、これでもかと報じているとおり。崇高なる理想を掲げて始まった近代オリンピックが、ここまで商業主義に徹してテレビの番組制作プロダクション化してしまったのに怒りテレビでオリンピックは見ない。新聞で結果を見る。と言う人も現れるのではないか。


200m平泳ぎの北島選手、1位になったが世界新はならなかった。本人も言っていた。朝の時間の決勝でなかったら世界新は出ていたと。番組がアメリカのゴールデンタイムだと高く売れるから、決勝を無理に午前の時間に持ってきた。野球もテレビ放映のため試合が延長になっても、試合時間が計算できるタイブレーク制の採用となった。


朝の時間の水泳の決勝や野球のタイブレーク制、条件が皆同じならいいじゃないかという論もあるかもしれない。
しかし、人間の運動能力のリズムを狂わせてまでテレビの放映時間を優先させねばならないのか?野球本来のルールを曲げてまでも決められた枠内の時間に放送を終えることを優先しなければならないか?


近代オリンピックの父、クーベルタンの言葉がむなしく聞こえる。「オリンピックで重要なことは、勝つことでなく参加することである。IOC(国際オリンピック委員会)はオリンピックをより早く、より多くの国に、より高く売りつけることである。」



2008年8月18日
オリンピックで競技を終えた選手に一息つく間もなくインタビューを始める。死に物狂いで競技をした選手。ハァ、ハァと肩で息をしている。しゃべることを職としているワケでもない。とっさに考えがまとまるワケがない。
もう少し、余裕を与えてあげてからインタビューすべきでないか。


2008年8月22日
なんと、情けない星野ジャパン。すべての責任は監督にありだ。第一に首脳陣を田淵、山本の仲良し内閣にしたことだ。 選手との間に一体感が生まれてこない。勝ち進んでいる時はいいが、負けが込んでくるとやはり仲良し内閣は問題だ。


昨夜、ソフトボールのチーム一丸となって戦っている姿をみて感動して半日経って野球はこの体たらく。ソフトボールの選手は実業団チームに所属し、仕事をしながらの競技生活。心臓移植をした選手までいるそうだ。 星野ジャパン24人は、おそらく全員1億円以上のプレイヤーばかりだろう。


ソフトボールの選手の”ひたむきさ””一体感”があまりにも傑出しているので、億万長者集団の野球のあのザマが歯がゆくてならない。2016年のオリンピックから、ソフトボールだけは復活されることを願いたい。野球はどうでもいい。



2008年8月25日
昨夜は保田ヶ池の花火、長島温泉の花火(姿だけが小さく見える)が終わっても北京の花火を見ることが出来た。
北京オリンピックの閉会式だ。 17日間にわたるオリンピックのクマさん的観察のランダムなまとめ。

● (今まででもあったかもしれないが)水泳の国際大会で黒人が泳ぐのをはじめて見た。これこそが人類の祭典だ。ゴルフだって黒人に開放されて久しい。当然のことはいえ遅すぎたのではないか。


● 社会主義国家が改革開放経済に転換した成果を世界にアピールする場としたこのオリンピック、家に例えるならば玄関とか応接間は非の打ち所がないほど立派だったがあんまり他人に見せたくないトイレやごみ置き場まで見えてしまった。 つまり、大会の運営は立派で光の部分だったが人権問題、少数民族問題、報道規制など陰の部分までもさらけだしてしまった。


● 金メダル51個でアメリカより上回った中国。選手は国威発揚のために戦う武器を持たない兵隊さんだ。世界は、果たしてこれをスポーツ大国と評価するか?



● 温室育ちで甘やかされた一部日本人選手、ふがいない結果だ。選手村に入らず、ホテル住まいの特別待遇は野球と男女マラソン。歯を食いしばってゲームに集中するためマウスピースまでつけてプレイするソフトボールの選手を見ろ。


祭りも終わった。オリンピックで高めた国際的評価をテコにして中国は露呈してしまった影の部分をどう解決してゆくだろうか?  ぎょうざ問題もほっといてもらっては困りますヨ。