物質文明が浸透するブータン


台風18号日本海側から”裏口入学”で接近中だ。夕方が近づくにつれ、雲行きも怪しくなってきた。どこかから種が飛んで来て庭の片隅で2.3日前に咲いた高砂ゆりも、今夜の台風で倒れるだろう。じっくりと見納めしておこう。


ウォーキング中の道端でイヌタデの赤い花穂がやけに目立つ。子供の頃ままごとの赤飯に使ったあの雑草だ。ことわざ「蓼食う虫も好きずき」のあの雑草だ。こんな雑草でも好きな人や虫がいるから、こんなことわざもも生まれて来ると云うことか。


「幸せの国 ブータン」の第2回目の講座を受講した。きょうは来日13年目のブータン人からみた日本について講師のヤンゾン・ディッキーは語った。清潔、ビルが高い、店員の腰が低く親切などの感想は東南アジアの新興国の人達と同様な感想だ。子育てに厳しさが足りない、親の面倒をみない、近所付き合いがない、などといった点は的を射た指摘だろう。


教育は厳しいようだ。小学生から学年の成績の悪い者は留年させられる制度だ。兄弟で兄より先に弟が卒業のようなケースもザラにあるらしい。人口70万人、主産業が農業の国で生存競争があまり激しいとは思われない。それなのに、このような制度と思うのは日本人の甘さかもしれない。



先進国の発展指標GDP(国民総生産)の向こうをはってブータンではGNH(国民総幸福感)なる指標を掲げている。講師のディッキー母国を離れた13年前には携帯電話なるものがその国にはなかった。テレビの全家庭普及には程遠い状況だった。自家用車なんて高嶺の花だ。



今年母国訪問。様相は一変。テレビはほとんどの家庭に普及。携帯電話も使われ、車が街にあふれるようになっている。講師に質問した。国民の幸福感が物を持って便利さ快適さを享受することに変わり、従来からの幸福感は薄らいでいるのではと。彼女、あと5.6年でそうなるかもと。


子どもの教育の厳しさは伝統的な仏教文化から来ているものだろうか。それとも、物質文明が浸透すれば先進国がたどった道「格差社会」を見越して恣意的に為政者が企てたものだろうか。いずれにせよ、物質文明の浸透はとどまることを知らない勢いだ。