女工さんの写真は語る


まったくの拍子抜け、台風18号だ。念入りに植木鉢や庭のテーブル、いすを片付けたというのに、いつごろ通過したこともわからずだ。目覚めてみれば台風一過の秋空。久しぶりにみる爽快な青空、心地よい風だ。        


先日、桜の「返り咲き」を観察したと思ったら、今度は家の前の歩道の植え込みの中でアメリデイゴが咲いているのではないか。前回日記にアップしたのは7月28日。3ヶ月もたたない間にまた咲いている。



きのうの中日新聞社会面に「名ばかりの技能実習制度の実態」についての記事があった。途上国の実習生に製造業、建設業、農業などの受け入れ先で最長3年間技術を習得させる制度。現在、中国やベトナムから19万人の実習生を受け入れているが、安価な労働力として扱い、賃金や労働時間に関するトラブルになるケースが多いという。記事ではベトナム人の元実習生たちを現地でインタビューしていた。


先日の地域の老人会の旅行で信州上田を訪ねた時、岡谷の岡谷蚕糸博物館に立ち寄った。明治初期、世界遺産に選ばられた群馬県の富岡製糸工場やこの岡谷の製糸工場はシルクの一大生産地帯として発展した。輸出に貢献し日本の近代化の基礎を築きあげた。



この博物館は、操業中の製糸工場も併設されて動態見学ができることが特徴だ。その他製糸機械、製糸経営資料が多数展示されている。この写真をみると、6月に訪ねた野麦峠のエピソードなどが重なり、始業は朝5時、終業は夜9時、食事時間はそれぞれ15分。休憩なし。徹夜の仕事も珍しくない。明治時代はこんな実態だったことが想像できる。



こんな過酷な工場労働を改善しようと大正5年(1916年)に工場法が施行され女子と15歳未満を対象に、労働時間の制限や深夜労働が禁じられた。長時間労働を抑える最初の法律の施行から今年で100年。だが、残念ながら、十分に効果ある制度は今でもできていない。科学技術の進化のスピードの100年と比べるとなんともやるせない。


ベトナムや中国の技能実習生と明治から昭和初期の女工さんの労働を同じ土俵で語ってもあまり違和感がないほどの実態だ。政府は「働き方改革」の担当大臣を据えるほどの力の入れようだ。期待しよう。製糸工場の女工さんの写真が色々なことを考えさせてくれた。