インフラの柱、地域交通の充実


きのうからの雨も上がり、抜けるような青空のポカポカ陽気。二十四節気の「小雪」とは不釣り合いの11月22日、「いい夫婦の日」となった。


けさの福島県沖を震源とする地震で、NHKは津波警報の発令に伴い「つなみ!にげて!」とひらがなのテロップを津波の到達時間とともに表示した。アナウンサーは「立ち止まったり、海の様子を見に行ったりしないでください」などと力強い調子で繰り返した。NHKは、東日本大震災時の反省点から災害報道を見直したのだろう。


延々と続けていたが、まったく関係のない地域のわれわれでも、NHKのこの姿勢に対して敬意を表したくなる思いだった。災害をまったくなくすことは無理だろうが、こうした取り組みの積み重ねで減らす「減災」はできるだろう。



先週JR北海道が10路線13区間について「自社の力だけでは存続できない」と発表した。先月道東旅行をした際、阿寒湖や摩周湖に行った日の昼食場所はJR釧網(せんもう)線摩周駅の目と鼻の先にある駅前食堂といった感じのちっぽけな食堂だった。ついでに駅の中を見学した。時刻表を見ると、1日上下5本の列車が行き来するだけの駅だった。


発表記事によると、対象は同鉄道全距離の半分ほどにあたるという。摩周駅のある釧網線の釧路〜網走間166kmも当然対象となっていた。13の区間には、JRがバスに置き換えようとするところがあり、線路の維持管理を行政に任せたいとするところもある。ただでさえ、嫁の来てがないところに鉄道もバスもなかったら、もう絶望だと懇願する地元の人の声が聞こえるようだ。




今週の木曜・金曜と金沢に行く。ついでに、北陸有数の紅葉の名所小松市郊外の那谷寺(なたでら)に行こうと色々調べた。今までは車で行っていたから、列車・バスの時刻を調べる必要がなかった。公共交通を使って行くのは初めてのことだ。今や北陸線は特急ばかり走っている。ローカル線は1時間1本。バスは特急に接続でローカル線の接続はなし。不便なことこの上なしだ。



われわれの地元JR東海などは東海道新幹線がドル箱だ。北陸まで管轄するJR西日本京阪神の都市間輸送や山陽新幹線がドル箱だろう。それでも、北陸新幹線金沢開業に伴い北陸線の在来線金沢・富山間はふたつの第三セクターに分割を余儀なくされる始末だ。                                         


へき地路線といっても本州のそれとはレベルの違う北海道のへき地路線だ。その維持を図ることができるがドル箱のないJR北海道は部外者のわれわれでさえ、なんとなく割り切れないものがある。頻発する高齢者の運転事故。それだからこそ、公共交通機関の貴重さを思う。手立てが求められるのは北海道だけではない。地方の地域交通の充実はインフラの重要な柱として必要不可欠ではないだろうか。