高速バスと北陸線ローカル列車の旅 Ⅱ


今回の旅行は高速バスとローカル列車の旅だった。2日間で530km、およそ10時間の乗車時間だった。高速バスは北陸道で名古屋・福井168km、3時間。東海北陸道で氷見(富山県)・名古屋間241km、4時間半。北陸線ローカル列車、福井・加賀温泉・金沢・高岡間118km、2時間半。


非日常の電車・バスに乗っていろいろなことに気がつくし、車窓からぼんやりと外をみているとまたいろいろなものが目に入ってくる。それらことに新しい発見があり、その背後にあるものを推理したり、刺激をを受けたりするものだ。それが、楽しいのだ。



40数年ぶりの福井駅前だった。当時は路面電車が走っていて雑然とした駅前の記憶だ。今は整然とした駅前広場に駅ビル。横には高層ビルが建っている。駅ビルと駅前広場はさながら恐竜動物園の出入り口広場だ。恐竜のモニュメント、ビルの壁面には恐竜が躍っている。


北陸新幹線延伸に備えて駅は高架になりホームもすっかり新幹線仕様に整備済みの様相だ。おまけに、再来年平成30年は福井国体とあって、(内情は知らないが)表向きには活気に満ち溢れている。石川県第2の都市小松も新幹線仕様駅化していた。去年の北陸新幹線金沢開業ブームが敦賀延伸の際も同様に起きるかといえば、はなはだ疑問だ。


集客資源として恐竜が加賀百万石城下町ほど資源価値があるか疑問だ。関西との結びつきの濃い福井県だ。それが、いまだに敦賀の先亰・大阪へのルートが米原か小浜か舞鶴か決まってない。福井から加賀温泉までのローカル線の車窓から外を眺めながらそんなことを考えた。



今、都会では電車に乗る際スマホを自動改札機の上にあてがうだけで、切符を買う必要がない。ITオンチのクマさんでさえ、スマホでなくてカードをあてがうだけで切符なんぞ買ったことがない。北陸線のローカル列車に乗って驚いた。福井でも金沢でも高岡でも自動集改札ではないのだ。駅員がいて乗車の時は切符にスタンプを押し、下車の時は手渡しなのだ。


切符はといえば、自動集改札機でも通れる磁気式切符なのだ。これについて、推理した。ローカル線は無人駅が多くて、1日の乗降者が10人や20人の駅に設置する費用対効果とか不正乗車者対策とかあって遅れているのだろう。とりあえず、問題のない切符の発売だけは自動にしておいて、おいおい集改札も自動化していく過渡期だろう。失礼ながら、ここは”裏日本”なのだ。



中央線の高蔵寺と岡崎の間を結ぶ愛知環状鉄道の電車で停車中の電車に乗り込むときには、自分で車外の「あける」のボタンを押してドアを開ける。乗車していて目的地に着いた時には車内の「あける」のボタンを押してドアを開ける。停車中のドアの開きっぱなしは冷暖房効果の妨げとなるのでこういうシステムなのだ。


北陸線ローカルには福井・加賀温泉加賀温泉・金沢、金沢・高岡と3回乗った。いずれも225系の電車で手動式ドアの電車だった。寒冷地、乗降者数の少ない路線、単線で離合での待ち合わせ時間のある路線あるいは複線だが特急の追い越し待機のある路線などでこのシステムが導入されているようだ。


理にかなったシステムだ。初めて乗る人に周知を図ることが必要だ。車内放送で駅に着くごとに「あける」のボタンを押す案内をしていた。一昨年の欧州鉄道旅行のイタリアでチョンボをしたことが思い出される。こういうシステムだとわかっていても、咄嗟のときに対応ができず降りるべき駅で降りられず、終点のベネチアまで行ってしまった。
今回の旅行では、そのようなチョンボはなかった。ここは日本だから。