さまざまな味わいありし桜かな


例年ならばお花見週末となるはずのこの週末、東京だけが全国に先駆けて桜の満開だ。政治経済ばかりでなく、お花見までもが、一極集中のこの週末だった。きのうの朝は、いやに夜明けが遅いと思ってカーテンを開けてびっくり。すごい霧だ。四つ池の対岸の家が”天空の城”風に見えて幻想的だった。


お天気博士が、今年は桜は遅い、特に西の方がと解説する。メディアは、とりわけ桜の木の下、青いシートに料理や飲み物を並べ、はしゃいでいる姿ばかりを追っているような気がしてならない。果たして、桜は満開の時だけ、どんちゃん騒ぎをしてめでるものだろうかと疑問がわく。


花見は春を祝い、野外で酒食をする昔からのならわし、日本の伝統文化だとの異論もあるだろう。そこは、人それぞれだ。もうすぐ咲きそうな枝先や、花びらが散って雪のように積もった庭をめでるのも静かな趣の味わい方ではないだろうか。


そんなことを考えながら、日曜の昼下がりのウォーキング。四つ池から三好丘周辺の桜ウォッチング。先週の火曜の日記に蕾がほころびはじめた写真とともに「週末には何分咲きになるか?」とカキコしたが、現実は上の写真の通りだ。お天気博士のいう通り、今年は遅い。



然らば、高遠桜どうかと足を運ぶ。例年四つ池のソメイヨシノより1週間早く開花する通称高遠桜。正式にはタカトオコヒガンザクラで、ソメイヨシノより少し小ぶりで赤みのある花を咲かせる。ワイナリーの近くに大木が1本だけある。3.4分咲きといったところだ。家主が「あと4日で満開」という。


この桜、この三好丘に信州から開拓で来た人が故郷を偲んで植えたのが、こんなに大きくなったという。樹高6.7mはある。車の行き交う県道から数十m離れていても、この時期になると赤みがかった桜の大木を眺めることができる。もう少し東名高速の方に足を延ばすと休耕田の一角に1本だけ御衣黄桜がある。例年で4月中旬開花。まだ、蕾の段階だ。



けさのウォーキング、100数十戸のトヨタ製住宅が立ち並ぶあざぶの丘住宅の外周沿いまで遠征。新しい住宅地でゆったりした団地内だ。外周からの入り口がロータリーになっていてしだれ桜が見頃だ。灰色の同じような建物ばかりの殺風景さを見事にカバーしている。周囲がぱぁ〜と明るい。


今宵はご近所さんの誕生パーティ。お店の造花の桜の下で酒食をともにする。日記のカキコは早めに済ませた。芭蕉は「さまざまこと思い出す桜かな」と詠んだ。クマさんは、満開の桜の下でのどんちゃん騒ぎだけが花見でない。桜のこんな味わい方もあると、きのうきょうで実践した。 さまざまな味わいありし桜かな  クマ