「柿の日」&期日前投票考


さわやかな秋晴れがやっと戻ってきた。最低気温が10度を切ったものの最高気温は20度越え。過ごしやすい秋晴れの一日だ。好天に恵まれ、地域で借り上げた田んぼでは80人余りの小学5年生が稲刈。広報紙の取材で出かけた。子どもたちは周囲だけを刈り取り、あとは業者がコンバインで。周囲の田んぼはとっくに稲刈りは済んでいる。ここはもち米だから遅いそうだ。


子ども達は稲刈りの後は、近くの柿畑で柿狩り。取材後知ったが、奇しくも本日は「柿の日」だそうだ。「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」。あまりにも有名な正岡子規のこの句、彼が奈良入りした日にちなんで全国果樹研究連合会のカキ部会が、平成17年に制定したそうだ。


子規は大の果物好きで、寝たきりになってからも、34歳で亡くなるまで、柿を食べ続けたという。その当時(明治の終わり頃)柿は日本全体の果物の生産量の3分の1を占めていたという。魚介類の秋の味覚の不漁が伝えられるなか、柿は例年通り味わえるのが、何よりありがたい。わが家にも柿の木があるが、最近はもっぱらカラスのえさだ。かつては、写真のような吊るし柿までやっていた。トシには勝てないなぁ。


10日ほど前のこと。市役所で健康セミナーがあって受講した。セミナーの会場の隣が衆院選期日前投票所だった。ついでに投票してきた。報道によると、今回の選挙の期日前投票者は全国で2137万人余り、全有権者の20%に達するそうだ。投票率の低下が懸念されるなか、期日前投票者は前回より大きく上回っているという。



交通が便利な大型量販店や大学に投票所を設け、過疎地ではワゴン車に投票箱を載せて回る。各地で投票しやすい選択肢を用意した結果だろう。これは、10日ほど前のカキコ、アムステルダム空港の「小便器の中のハエの絵」と同じ効果だ。今年のノーベル経済学賞に輝いたセイラー教授の説く「小さな誘導(ナッジ)を与えることで、選択をより良い方向に導ける」。この理論だ。


こうしてみると、われわれの社会活動の中で、より上にへと目指して活動していると、知らず知らずのうちに、ノーベル賞の理論を実践しているのだ。逆に云えば、セイラー教授はわれわれの活動を心理学を取りいれて理論づけたに過ぎないのではないだろうか。はるか宇宙の先の存在であるノーベル賞の理論が身近に感じられるようになった。