武道の必修化


朝からの雨。雨に洗われた四つ池の周りの新緑が美しい。三好丘のバス通りの植え込みのツツジがぼちぼち咲き始めた。にわかに春深しの感じがしてくる。来週の土曜、5月5日は二十四節気の「立夏」だ。


この新学期から中学校で武道が必修化されたようだ。親や先生にロクに挨拶も出来ないで携帯電話やゲームにばかり夢中になっている子供たちをこのまま放っておいていいものかと、お上自らが動き出したと言うことだろう。「礼に始まり礼に終わる」武道の礼儀作法を身につけさせることは大いに結構だ。


ところが、先月新聞に載っていた。武道の必修化をめぐっては、各校が教員らによる指導体制や事故発生時の対応、武道場の安全管理などを点検し、準備が整うまでは柔道の授業を始めないよう、文部科学省が全国の教育委員会に通知していた。スタート直前になって、お上が責任逃れとも受け取れるような通知を出すもんだから、親や先生も動揺し”柔道は危険”と尻込みしてしまうのも当然だ。武道の選択科目を柔道から剣道に変えた学校がかなり多いらしい。霞ヶ関の優秀な官僚だったら、新しい制度をスタートさせるに当りあらゆる事を想定しての工程表に沿って実施に至るのではないか? どうも、お粗末過ぎる。


如何に万全を期しても、どんな競技にも危険はついてまわる。それでは何もできなくなってしまう。裏を返せば、絶対安全とは何もしないこと。スポーツ競技はしないこと。原発は動かさないこと。車に乗らないこと。全国の中学生は、武道を通じて心身を鍛えるいい機会が与えられたと思いたい。