フロム鉄道とベルゲン急行


今度の北欧旅行で楽しみにしていたのは二つの鉄道に乗ることだった。西ノルウェーフィヨルド地帯にあるノルウェー第2の都市ベルゲンと首都オスロを結ぶベルゲン急行。もうひとつはフィヨルド観光の拠点フロムとベルゲン急行停車駅ミルダールを結ぶ山岳鉄道、フロム鉄道だ。



前日オスロからバスで6時間かけてハダンゲルフィヨルドに入り、岸辺のホテルで1泊。翌日ソグネフィヨルドのグドヴァンゲンからフロムまで約2時間半のクルージング。フロムの町は人口500人たらずだが、夏は世界中から観光客が押し寄せるといわれる。鉄道駅とフェリーの桟橋が至近距離で、大型客船の大きさと大勢の外国人に圧倒される。



このフロム鉄道、フロムからベルゲン急行への乗り継ぎ駅ミルダールまで20kmの距離を1時間かけて行く。フロムは海辺だから標高0mに近い。ミルダールは標高865m。急こう配の山間部を走るため路線は曲がりくねってヘヤピンカーブが多い。途中、水しぶきをまともに浴びるような滝の淵で臨時停車のサービスもある。




岳鉄道だが軌道は標準軌(線路の幅が日本の新幹線と同じ幅、在来線は狭軌)で車内はゆったりしている。国際色豊かな車内だ。陽気なスペイン人の団体が騒いでいても、あまり気に障ることがないから不思議だ。これが、中国人の団体だったら、うるさくて気に障る。同乗の日本人は、おそらく同じ気持ちだと思う。



ベルゲン急行はオスロ〜ベルゲン間約500kmを約7時間で結んでいる。1日2〜5往復運行。(1往復は夜行)。欧州屈指の景勝ルートといわれている。フロムから山岳鉄道で1時間ミルダールに到着した。ミルダールはオスロまで5時間、ベルゲンまで2時間の位置にある山の中の駅だ。周囲の山は雪化粧。オスロ行が来るまで寒くてホームで待つのはつらい。待合室は相撲取りのようなおじさん、おばさんに占領されて身動きできないほどだ。



ベルゲン発オスロ行がやっとミルダールに到着。ぬくぬくとした車内は快適だ。西欧で乗ったTGVやタリス、ユロスターより快適だ。座席間隔が広い。日本の新幹線並だ。ミルダールを出て1時間以上右を見ても左を見ても雪景色だ。
沿線最高地点1237mのフィンセでは外気温5度の表示が出ている。スキー板を持った乗客が乗り込んでくる。




雄大なV字谷が広がり、雪解け水をたたえた湖や清流の雪景色がなくなると、いつのまにか夢の世界に。車窓を流れて行く変化に富んだ風景はノルウェーの厳しくも美しい自然を満喫させてくれた。19時半オスロ駅着。日はまだ高い所にある。